戸塚ヨットスクール Q&A

ヨットスクールに寄せられる問い合わせなどをまとめてみました。
どうして非行・不登校・ひきこもりが改善されるのか、なども紹介しています。

Q1 戸塚ヨットスクールは今でもやっているのですか?
もちろんやっています。マスコミは報道しませんが…。

Q2 どんなことをしているのですか?
従来通りです。大自然の中で「基礎精神力を養う」トレーニングを行っています。

Q3 もともとどんな所なのですか?
当初は、オリンピック級のヨットマンを育てるためのジュニアヨットスクールとして
スタートしました。
たまたま登校拒否の子がまぎれこんできて、その子が良くなったので、 情緒障害児の更正施設として有名になってしまいました。しかし、ヨットを通じて、人間性を進歩・向上させるという意味で、 昔から何ら変わりません。
平成14年3月29日より、いわゆる"戸塚ヨットスクール事件"で最高裁の上告が棄却さたため、(詳しくはQ&Aのパート3) 戸塚校長と2名のコーチが獄中にあります。
しかし、スクールは他のコーチや卒業生により、今までと変わらず訓練を続けています。

Q4 具体的に毎日どんな生活をしているの?  
7時に起床し、基礎体力をつけるために体操・ヨガをおこないます。その後朝食を取り、掃除します。 そして、9時から訓練開始! 昼食などを間にはさみますが、約16時頃まで訓練します。その後しばしの自由時間を持ち、18時夕食、自由時間を経て、22時に消灯といった流れとなります。 ※毎週月曜日は休日です。

Q5 場所はどこ?
愛知県知多半島の美浜町です。
名古屋駅からは名鉄・特急で約40分。終点の河和駅から徒歩3分の所に、海を望む3階立ての白いビルがあります。

Q6 今、何人の訓練生がいますか?
約10名です。以前のように何十名も受け入れることはせず、少人数でやっています。

Q7 訓練期間は?
いろいろです。
たとえば、----中2から登校拒否が始まり、高1で中退、その後ずっと家でブラブラしている。児童相談所やカウンセラーに相談したがラチがあかず、精神科にも行ったが、薬を飲んで良くなるどころか、かえってひどくなった。
最近、物を壊したり、周りの者に暴力をふるったり、落ち込んだり、などの異常行動がひどい----こういうケースは、約1年間の合宿が必要です。

Q8 長すぎませんか?
体罰を使えば期間を短縮できますが、今はそれができません。
マスコミのおかげです。

Q9 何歳から参加できるのですか?
年令制限はありません。
4歳から80歳まで、本人の状態に応じて最適な訓練を行います。

Q10 通いはOKですか?
登校拒否、家庭内暴力、非行などは、合宿が原則です。
しかし、一般の訓練が目的なら、大阪から毎週末やってくる中学生、福岡から夜行バスに乗ってくる小学生、休日にふらっと来る社会人…、と色々です。

Q11 牢屋はあるの?
そんなものありません。

Q12 費用はいくらですか?
規定の入校費と、毎月の生活費のみとなります。詳しくは、お電話か電子メールで相談してください。 入校案内

Q13 毎日ヨットに乗るのですか?
今はウインドサーフィンですが、毎日海に出ます。強風、微風、雨、夏、冬…、自然の条件がさまざまに変化するなかで常に進歩するためです。
天候の急変が予想される時や15m以上の強風が吹く時などは別です。

Q14 どうしてヨットで登校拒否が治るのですか?
脳の働きが正常化するからです。
現代人は、皆、脳幹と呼ばれる脳の原始的な部分が弱くなっています。そこをヨットやウインドサーフィンのトレーニングで強化すると、ホルモン分泌や免疫機能などが正常に働いてバランスを取り戻すようになります。その結果、感情が安定し、学校へ行けるようになるのです。
つまり、もともと本人が持っていた能力(脳力)を発揮できるようにするだけなので、「治す」とは言わず「直す」と言います。

重要なのは、弱くなった機能を強くするのは(原理的に)トレーニング以外にないということです。精神的な諸活動も生理的機能に基礎づけられているのですから、精神的弱さもトレーニングで強くする以外に方法がないのです。

まず肉体を強くし、それを土台に精神を強くし、両者の相互作用で技術を高め、そういう過程を繰り返すことで人間性を向上させ、さらに集団の中で社会性を培う、という順序で子供を進歩させるわけです。

教師、学者、評論家は、ああでもないこうでもないと批判ばかりしますが、彼らに科学的な理論や方法論はありません。カタカナの知識を並べ立てるばかりで何も実践できず、自ら理論を作る能力もありません。
何しろ「うちの子を内緒で預かってくれ」と言ってくるくらいですから。

Q15 戸塚校長ってどういう人ですか?
太平洋単独横断レースで世界記録を樹立した超一流のヨットマンです。
体力、知力、精神力が抜群の人物です。

Q16 コーチはどういう人達ですか?
コーチ達も、ほとんどが太平洋横断経験のあるヨットマンです。かつての事件の時散々に言われましたが、自分に何の得もないのに子ども達を 立ち直らせようと、必死になるタイプの人ばかりです。
実物が見たければ、戸塚ヨットスクールに見学に行ってみて下さい。事前の予約さえあれば、いつでも見学可能です。

Q17 体罰はあるのですか?
使いたいのですがなかなか使えません。
もっとも体罰は早く直すのための補助手段にすぎませんから、使わなくても成果はでます。

Q18 子どもに体罰は必要ですか?
良いも悪いもありません。
体罰無しで本当の教育やしつけができるなら、まずやって見せて下さい。
戸塚ヨットスクール事件が起きてから19年が経ちました。当時、「体罰は何が何でも絶対ダメ」と言っていた教育評論家達は、教育荒廃を克服するためにいったいどんな方策を打ち出したのですか。
また、戸塚ヨットを散々に罵倒した精神科医達は、登校拒否問題をどう解決したというのでしょう。
事は日本の存亡に関わる問題だというのに、皆さん、ちょっと不真面目なんじゃあないですか。

Q19 どうしたらいじめを無くせますか?
いじめを無くしてはいけません。
いじめは、種族保存のために、仲間を進歩させようとする本能だからです。今のいじめ問題は、「いじめ方」が悪いということにあるのです。
信号無視の車が悪いからといって、信号そのものを無くしてはならないように、いじめ方が悪いからといって、いじめそのものを撲滅せよ、というのは間違いです。

Q20 子どもの意見は尊重すべきですか?
尊重すべき意見を言えるように、修行させるべき時期にいるのが子どもです。

 


登校拒否とは?病気?どうやったら改善されるものなの?など、戸塚ヨットスクールが掲げる「脳幹論」をもとにお答えしたいと思います。現代の教育環境についても考えさせられることが多いのでしょうか、セミナーなどでも多くのご質問を受けてます。

Q21 登校拒否ってどういうものですか?
色々なタイプがあります。典型的な例をあげましょう。
中学1、2年生の男子。
ある朝、学校に行く時間になって「頭が痛い」「お腹が痛い」「熱がある」と言いだします。病気には見えません。熱を体温計で計ると、ほとんどないか、あっても微熱程度です。ただ、親としては心配なので、大事をとって休ませます。
すると、あとはケロっとして、マンガやテレビゲームで一日を過ごします。夕方にはすっかり元気になり、「明日は学校へ行く」と言うので、家族も安心します。
ところが、翌朝、学校へ行く時間になると、また、頭が痛い、お腹が痛い、熱がある、と言います。そういうことが何回か続くので、ずる休みではないかと思って無理に行かせようとすると、引きつけを起こしたりします。
最初のうちは、特定の曜日に行ったり、特定の科目だけ出席できたりするケースもありますが、やがて全く行けなくなります。

Q22 それって病気ですか?
一般論としては、「心の病」ということになります。精神科や心療内科では、「自律神経失調症」、「心身症」、「神経症」などと診断されます。
しかし、自律神経失調症というのは「自律神経の調子が悪い病気」、心身症に至っては「心と身体の関係した病気」といっているにすぎず、本当の原因を特定したことにはなりません。
本当の原因が分かっていれば、例えば、脚気(かっけ)のように、「ビタミンB1欠乏症」という正しい病名があるはずです。
後に説明しますが、直接の原因と認められる身体的疾患はないものの、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患が多く見られます。これは大変重要なことなのですが、分析ばかりして、人間を全体として診ようとしないこれまでの西洋医学では、そういうことにあまり関心が払われていません。

Q23 登校拒否って外国にもありますか?
外国にもありますが、日本のように多く、また急速に増えている国はありません。

Q24 登校拒否って、文字通り「登校を拒否している」のではないんですか?
英語では「学校恐怖症」(school phobia)と言い、強迫神経症の一種と見なされています。「登校拒否」という字面(じづら)だけを見て、「積極的、主体的に、学校を拒絶する」という意味にとるのは全く間違っています。
ところがそういう意味に解釈して、勝手な教育論を展開したりする人が少なくありません。 ある映画監督が、テレビの討論番組で、「かつて学校に対する不満を表現する手段として学生運動というものがあった。今はそれがなくなって、子ども達の登校拒否運動となった」などという、とほうもない大ボケ発言をしていたのは、その良い(悪い?)実例です。

Q25 登校拒否の子ってどれぐらいいるのですか?
平成11年の文部省の調査では、小学生と中学生を合わせて13万人以上です(30日以上休んだ子)。この統計数字は、学校がしぶしぶ認めた「ひかえめな数字」ですから、実際にはもっと多いはずです(学校側は、病欠扱いにしたり、訪問学級を出席とみなすなどの便宜的手段を使って、登校拒否児の数を減らそうとします)。私達は、予備軍を含めれば数十万人に達するだろうと見ています。
登校拒否は中学生になって問題化することが多いのですが、最近は低年齢化し、小学校低学年や幼稚園でも増えています。

Q26 登校拒否が増えているのは、いじめや管理教育のせいですか?
学校でのストレスがきっかけで登校拒否になる子は確かにいます。しかし、実際に登校拒否になるのは何十人に1人です。
同じクラスで同じストレスを受けていても、登校拒否になる子とならない子がいるのは、その子が「弱い」からです。そして、その弱さは、自律神経失調症や心身症を引き起こすような「弱さ」です。 つまり本人のせいです。
従って、いじめや管理教育が原因ではありません。

Q27 登校拒否の子は、その後どうなるのですか?
(その1) 小中学校は義務教育で、留年されては困るのであらゆる手段で登校拒否児を卒業させてしまいます。
当然、高校に入学できない子が出てきます。また、高校や専門学校に入学しても続かないことが多く、(今度は義務教育ではないので)すぐに退学となります。高校中退者が毎年10万人も出るのは、主としてこのためです。
いずれにせよ家でぶらぶらするだけの「無業者」になります。その多くが犯罪予備軍と言ってよいでしょう。奈良県・月が瀬村で女子中学生を車で跳ね、殺した25歳の男もその1人です。
神経症の症状がひどい場合、精神科に入院させられてしまうケースも少なくありません。 今、日本の精神科のベッド数は諸外国に比べてとんでもなく多くなっています。

Q28 登校拒否の子は、その後どうなるのですか?
(その2) 登校拒否を長く続けていると、色々な行動異常が現れてきます。まず、自分の部屋に閉じこもってテレビ・ビデオ・ゲームばかりやっている子は、急速に「夜型」になります。深夜3~4時頃まで夜更かしをし、起きてくるのが午後2~3時頃になり、昼夜逆転します。食生活も不規則で、肥満して顔色が悪くなってきます。 そういう状態が1~2年続くと、感情が不安定になって、周囲に当たり散らしたり、物を壊したりするようになります。やがて、母親や父親に暴力をふるうようになります。これが、家庭内暴力です。
そして、登校拒否と家庭内暴力に密接な関係があるように、実は、無気力・喊黙(かんもく)・非行なども、「心の病」として共通するものがあります。これらをまとめて『情緒障害』と呼びます。

Q29 『情緒障害』って何?
(その1) 情緒障害とは、「心の防波堤が決壊しやすい状態」のことです。
学校にはイヤなことが色々あります。学力試験・体育の授業・給食・友達のいじめ・担任の先生が嫌い…、等々。こうしたことがイヤで学校に行きたくないと思った経験は、誰もが持っているはずです。ただ、普通はイヤだと思いながらも学校に行ってしまうものです。
ところが、このほんのちょっとしたことを乗り越えることができずに学校を休んでしまうと、今度は休んだこと自体が大きなストレスになって、一層行きにくくなります。学校を休んだこと自体が理由になって学校を休むことになるわけです。

Q30 情緒障害って何?
(その2) 「心の防波堤が決壊しやすい」ことは、現代っ子の色々な問題につながっています。中学校で登校拒否が始まり、高校を中退した子のことを考えてみて下さい。 アルバイトや就職が長く勤まらないことは言うまでもないでしょう。毎日、家でぶらぶらしていてもすることがありません。
行く所といったら、ゲームセンターかパチンコぐらいのものです。そういう状態で非行グループなどに誘われると、ずるずると一緒に行動してしまいます。やがて、シンナーや覚醒剤に手を出すことになります。
また非行グループが犯罪に走ると、(心の防波堤が決壊して)とめどなく凶悪化します。 一方、落ち込みやすいタイプの子の場合は、自殺することもあります。 エネルギーがみなぎっているはずの青春のさ中に、生きる気力を失って、取り返しのつかない行動に走るのも心の防波堤の決壊なのです。

Q31 非行ってどういうものですか?
集団で万引きをしたり、シンナーを吸ったり、バイクを乗り回したりという「反社会的行為」をします。

Q32 非行と不良は違うんですか?
目的が明らかに違います。不良は自分の利益(物欲・性欲・名誉欲などを満たすこと)を目的としていますが、非行は“群れをなす”ことを目的とします。それは、1人でこっそり万引きやシンナー等をすればいいのに、あえて集団で行うところ、バイクに乗りたければ1人で乗ればいいのにあえて集団で乗り、しかも大声で騒ぐところを見れば分かります。

Q33 なぜ“群れをなす”ことを求めるんですか?
人間の本能にあるからです。昔から人は1人では生きられず、群れを作り、支え合いながら生きてきました。現代社会では親友がその役目を果たします。ところが、今の子ども達は友達はいるけれど親友がいないという子が多い。
その状態が彼らを不安にさせ、その不安を取り除くために非行をして群れを作るんです。 また、アイドルの追っかけをするのも同じ原理です。アイドルと自分とで群れを作ろうとしています。

Q34 非行は直りますか?
非行を直すには、親友を作る能力、つまり“群れをなす”本能を強くしてやればいいんです。これはトレーニングでできます。

Q35 登校拒否や非行などはいつ頃から表れたんですか?
日本が先進国の仲間入りをし、急速に豊かになり始めた1970年代に表面化しました。きしくも、こういった問題は先進国でしか起きていません。

Q36 そのような、いわゆる教育荒廃はなぜ起こったんでしょう?
よく「教育が悪いから」と言われますが、これは間違いです。なぜなら、この現象は教育水準の高い先進国でしか起きていないからです。もちろん、教育の問題がないとは言いませんが、根本的な原因は脳幹が弱くなったことです。

Q37 教育の問題って何ですか?
最も大きいのは、戦後民主主義からつながる平等主義と、 人権思想を背景にした子供の自主性を尊重するという風潮でしょう。
競争の場を奪われたことで子どもの意欲はそがれ、何でも思い通りになる ことで非常に個人主義(利己主義)の子供ができてしまいました。

Q38 情緒障害という言葉はどこからきたんですか?
英語の「エモーショナル・ディスターブト・チルドレン」の訳です。しかし、「エモーション」の本来の意味は「情緒」ではなく「情動」。「情動」とは本能のランクにおける感情のことで、実はこの言葉そのものが 「本能がおかしい」ということを指摘しているのです。

Q39 情緒障害に陥りやすい環境ってあるんですか?
情緒障害と言われる子どもの多くは豊かな家庭で育てられており、父親の存在が薄いということが言えます。欲しい物が手に入り、自分の意見が父親のそれより優遇されてしまうような家庭に、この問題が起こりやすいようです。

Q40 我が子が情緒障害になってしまったら、どこに相談すればいいでしょう?
精神科に相談した場合、薬がもらえたり、注射を打ってもらえたりするかもしれません。これらは脳に直接作用しますから、副作用の心配をして下さい(医者は大丈夫と言いますが…)。
カウンセラーに頼れば、「自由にさせてあげなさい」と言われるかもしれません。自由にさせ続けた結果、手におえなくなった子どもがよくスクールに来ます。スクールでは脳幹を鍛えるトレーニングを行い、それによって直します。



ここでは、記憶に残る方もおられるかと思われます、「戸塚ヨット事件」について、真実の姿をごらんいただきたいと思います。こういったご質問は、セミナー中にも聞かれたりもしますが、できるだけわかりやすくご説明することで、真実の姿を知っていただければと思っております。

Q61 戸塚校長は以前逮捕されたと聞きますが、本当ですか?
本当です。今から17年前の1983(昭和58)年6月13日に校長が、そしてその前後にコーチのほとんどが逮捕されました。

Q62 どうして逮捕されたんですか?
直接のきっかけはコーチ達が暴走族をつかまえた事件(暴行容疑)でした。しかし、警察が本当に追求したかったのは1980(昭和55)年に起きた「吉川事件」、1982(昭和57)年に起きた「あかつき号事件」と「小川事件」です。

Q63 それはどんな事件ですか?
1つ目の「吉川事件」は、昭和55年10月30日に入校した吉川君(21歳、無気力) が、入校直後の11月4日に亡くなったものです。
2つ目の「あかつき号事件」は昭和57年7月10日に入校した水谷君(15歳、登校拒否)と、同月24日入校の杉浦君(15歳、家庭内暴力)が、同年8月14日奄美合宿の帰りに、航行中のあかつき号から行方不明になったものです。
3つ目の「小川事件」は、昭和57年12月5日に入校した小川君(13歳)が、やはり入校直後の同月12日に亡くなったものです。

Q64 事件から逮捕まで随分間があるようですが…?
吉川君の死因は「出血性肺炎」でしたし、水谷君と杉浦君は誰もその落水などを見ていませんでしたから、未だに状況がよく分かりません。
ところが、小川君の事件をきっかけにして、当時の世論は『体罰反対』という方向に流れていき、戸塚ヨットはその槍玉に上がりました。
まずサンデー毎日が「戸塚つぶし」のキャンペーンを始め、他のマスコミもこれに便乗しました。こうした世論に押された形での逮捕だったわけです。

Q65 取調べはどのように行われたんですか?
校長やコーチ以下、卒業生や訓練生に至るまでが次々に逮捕されました。
彼らは愛知県下の各警察署に分散留置され、弁護士と会うこともままならず、外の様子も知らされないまま、取調べは全て警察側ペースで行われました。来る日も来る日も朝から晩まで、「これを認めればすぐ出してやる」とか「ここでしゃべったことは単なる調書に過ぎない」などと甘い言葉をささやかれ、巧妙に自白を迫られたのです。

Q66 勾留期間はどのくらいだったんですか?
短い人で5ヶ月、長い人(校長とコーチ)は3年以上にも及びました。
このため、スクールは「一時閉鎖」に追い込まれました。

Q67 拘置所の生活はどんなものだったんですか?
狭い部屋で、トイレ・洗面・就寝時以外は同じ場所に座り続けなければいけない生活です。日照時間は1日たったの30~40分。気分転換は3度の食事だけですが、とんでもなくマズイ物が多かったようです。

Q68 検察側の主張を聞かせてください。
吉川君と小川君については、校長やコーチらの『暴行』による『外傷性ショック』が原因で『死亡』した「傷害致死」にあたるとしています。
また、水谷君と杉浦君については、校長やコーチらの『監視』による『監禁』が彼らを追い詰め、結果的に『死亡』へ導いたもので、「監禁致死」だとしています。 (これらを『訴因』と言いいます。検察は『訴因』をはっきりさせる義務があり、弁護側はその『訴因』に誤りがあることを反証していきます。訴因が証明されれば有罪、されなければ無罪でなければなりません。)

Q69 判決はどうなったんですか?
逮捕から9年以上が経過した、1992(平成4)年7月27日前後、名古屋地裁で第一審判決(小島裕史裁判長)が言い渡されました。求刑を大幅に下回る懲役3年、しかも執行猶予付の有罪判決でした。
内容的には実質無罪と言えるものです。

Q70 判決後は?
同じ年の8月5日、名古屋地検が量刑不当で控訴し、翌日戸塚ヨット側も 「無罪」を訴えて控訴しました。

Q71 なぜ「無罪」だと言えるのですか?
裁判所の役目は、検察側の提示した『訴因』が正しいかどうかを判断することです。その為、弁護側もその『訴因』を突き崩すための努力をします。
ところが、第一審判決はその『訴因』が間違っていることを認めながら、別の理由で「有罪」としたのです。これは『訴因の逸脱』です。そして『訴因』が違うのならば「無罪」です。

Q72 どういうことですか?
まず、「吉川事件」。裁判所は検察側の主張した『外傷性ショック』を否定し、弁護側主張の『出血性肺炎』を死因と認めました。それなのに、『暴行』も間接的原因だから「有罪」だと言うのです。
次に「小川事件」。検察側の主張は「吉川事件」と同じですが、裁判所はその死因は弁護側の主張する「低体温症」の可能性も認め、どちらか判断できないが『暴行』も間接的原因ということでやはり「有罪」としました。 さらに「あかつき号事件」においては、『監視』はなかったと認めながら、逃げ道がないという点で『監視』なき『監禁』であるとし、
「有罪」としたのです。

Q73 第二審はどうなりましたか?
第一審判決から4年半後の1997(平成9)年3月12日、 名古屋高裁で判決が言い渡されました(土川孝二裁判長)。戸塚校長は懲役6年、執行猶予なしの実刑判決でした(その他3人のコーチが実刑)。

Q74 なぜ量刑が増えたんですか?
名古屋高裁は弁護側の主張する「第一審判決の訴因逸脱」を全く受け入れませんでした。それどころか、第一審を覆して「吉川事件」も「小川事件」もともに死因を『暴行』による『外傷性ショック』と断定し、「あかつき号事件」も『監視』という手段を使わなくても『監禁』状態に変わりないと判断されたのです。
非常に感情的な判決だと思います。

Q75 上告したんですか?
当然です。
高等裁判所は、第一審判決に誤りがなかったかどうかを判断する場です。第一審判決は明らかに『訴因の逸脱』を行っていますから、『訴因』変更で差し戻しにするか、無罪にするか、どちらかにすべきだと主張しました。

Q76 最高裁はどうなりましたか?
上告から5年後の平成14年2月25日、「上告棄却」の決定が下されました(福田博裁判長)。理由は、「弁護側の主張は単なる法令違反や事実誤認の主張で、上告理由に当たらない」というものです。
これにより高裁の判決が支持されることになり、戸塚校長とコーチ3名が収監されました(平成14年3月29日より)。

Q77 それにしても、なぜ死亡事故が続いたんでしょうか?
こうした事故は、もちろんあってはならないことです。しかし、常にその危険があることもまた事実です。
戸塚ヨットが相手にしている「情緒障害児」は、全く予測できない異常な行動を取ることがしばしばあります。
そうした子ども達を、24時間体制でケアしているのは戸塚ヨットしかありません。そして、それほどに複雑な心の病、親や先生ですら手がつけられない子ども達を600人以上直してきたことも事実です。
一般常識では理解しづらい「情緒障害児」、この実態を知らずに、死亡事故の原因を議論することはできません。

Q78 スクールには本当に罪はないの?
スクールは自分達に何の責任もないなどとは言っていません。人が死んだという事実を厳粛に受け止め、反省も謝罪もしています。罪名が「業務上過失致死」ならここまで争うこともなかったでしょう。
しかし、検察側はあくまで「傷害致死」という主張を崩しませんでした。つまり、故意に暴力をふるって子どもを死なせたと言うのです。それだけはどうしても認めるわけにはいかなかったのです。

Q79 これからスクールはどうなるんですか?
今までと何ら変わりはありません。戸塚ヨットが行っている教育は科学的なものであって、戸塚校長の名人芸ではないのです。だからどのコーチが行っても同じ成果を出すことができます。
そのような成果を積み重ねることで、戸塚ヨットの教育法の普遍性に気づいてもらいたいと思います。

Q80 「世論」は変わりますか?
事件が起きて19年経った今、非行や登校拒否は激増するばかりです。この事実を正面から捉え、冷静な分析と思考を重ねれば、戸塚ヨットの方法論が科学的に正しいものであることは必ず理解されるはずです。
そして、その科学的真理を理解する人が1人づつ増えていけば「世論」も変わるに違いない。私達は、そう確信しています。

 


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